vol.31 2025 MAY
IP’s REPORT 31 佐藤 勉 一般社団法人 日本インテリアプランナー協会 東京 〒141-0022 東京都品川区東五反田5-25-19 東京デザインセンター 5F TEL:03-3446-8860 FAX:03-3446-1417 E-Mail : office@jipat.gr.jp https://jipat.gr.jp 昨年5月の協会設立30周年記念大会では、会員をはじめとする多くの皆様にご参 加いただき、大きな節目をともに祝うことができ、心から感謝いたします。 長く続いたコロナ渦が明けた後も、地域によっては度重なる自然災害などに見舞 われ、また物価の高騰などにより経済情勢も大きく変化しています。そのような中 でインテリアの仕事が果たす役割とは何でしょうか。機能的で美しい内部空間を創 出するという職能を超え、インテリアプランナーはその空間に生きる人々の豊かな 暮らしの創造に向けて、積極的に働きかけることがますます求められています。 インテリアプランナー(以下IP)は、インテリアの計画に関わる幅広い知識と技 能をもち、インテリアをトータルに設計・監理できるプロフェッショナルを証明す る資格です。1987年に創設され、2001年に国土交通省の認定資格から(公財)建 築技術教育普及センターの認定資格となり、2016年にはアソシエイト・インテリ アプランナー(AIP)の称号を新設。2024年度は全国で135名のIP試験合格者が生 まれました。IP資格者は5年ごとの更新講習にてインテリアの新技術や法令などの 最新動向を身に付けることで、適正なインテリアプランニング業務を遂行し、日々 知識と技術の向上を図っています。 当協会はIP資格者である正会員を中心に、AIP会員、一般会員、学生会員、法人 会員等で構成されています。4つの常設委員会、ブランディング特別委員会、法人 会員の会を中心に、多彩な事業の企画・運営に力を注いでいます。2024年度の協 会活動は多彩な事業が大変充実した一年となりました。総務委員会による総会、事 業委員会による新年交流会・施設見学会や2回のプランナートーク、国際委員会に よるフランス大使館などで開催された2回のサロン・ド・IP、教育普及委員会による 充実したIP受験対策セミナー、法人会員の会による多彩な交流会や懇親会など。そ れぞれのイベントでは、会員だけでなくビジターの方々も含めた多くの参加者を集 めて開催され、交流や親睦を深めました。 日本インテリアプランナー協会(JIPA)の活動支援では、隔月開催の委員会と理 事会における活動やIPアワード2024の実施、IDM(インテリアデザインミーティン グ)の活動では他協会と協力し、11月のIDMシンポジウムと3月のJAPAN SHOP 2025IDMブース、懇親会「The Night」などを実施し、いずれも大変な盛況とな りました。本年7月にはJIPA全国大会2025 in 関西が大阪で開催されます。 またブランディング特別委員会を中心に数年にわたり取り組んできた、新しい会 員名簿システムが今年から稼働します。会員相互の緊密な情報交換に役立てていた だくとともに、ビジターの方々へも協会活動への周知の機会を増やし、新たな会員 の拡充へとつなげる一助になるものです。新入会員をはじめとする若い会員の方々 には、積極的に協会活動に参加し、活躍の場を広げていただきたく考えています。 インテリアプランニングという共通の関心のもとに、多彩な知識と経験を有する 人々が集い、活きた情報を分かち合う場と機会を提供することが、この協会の社会 的な使命です。当協会における一層の活動推進のために、引き続き皆様の御理解と 御協力をお願いいたします。 [さとう つとむ・駒沢女子大学空間デザイン学部空間デザイン学科主任] はじめに 2 一般社団法人 日本インテリアプランナー協会 東京 会長 協会組織図 社員総会(評議員会) 通常総会(会員総会) 会  長 副会長 専務理事 事務局長 一般社団法人 日本インテリアプランナー協会 東京 JIPAT ホームページ運営室 はじめに 活動報告                3-4 コラム「椅子張りという仕事」   5-7 各種手続き・会員特典 8 理事会 監 事 gid00004gid00042gid00041gid00047gid00032gid00041gid00047gid00046 目 次
gid00019gid00032gid00043gid00042gid00045gid00047gid00001gid00042gid00033gid00001gid00002gid00030gid00047gid00036gid00049gid00036gid00047gid00036gid00032gid00046 活動報告 2024/04 - 2025/03 IP’s REPORT 31 3 サロン・ド・IP 2025年 JIPAT 新年交流会 温故創新の森 NOVARE 見学会 プランナートーク サロン・ド・IP 2024 vol.2 テーマ:「股旅デザイナー 村澤一晃の見た世界」 日    時:2024年 8月23日(金)18 : 00~19 : 30 場    所:PLUS DESIGN CROSS (恵比寿ガーデンプレイス) 参 加 者:34名/リアル31名、WEB3名 スピーカー:村澤 一晃氏(ムラサワデザイン代表) ファシリテーター:伊藤 裕氏(SOL style) プランナートーク No.13「連立方程式から導くカタチ」 日    時:2024年 8月8日(木)18 : 00~21 : 00 場    所:BoConcept 東京本社 ショウルーム 参 加 者:イベント32名 交流会39名 パネリスト:鬼木 孝一郎氏 (鬼木デザインスタジオ代表) ファシリテーター:久野 義憲氏(Ambientec 代表) プランナートーク NO.14「人間と時間、そして空間」 日    時:2024年 11月14 日(木)17 : 00~20 : 00 場    所:㈱サンゲツ PARCs Sangetsu Group Creative Hub (日比谷パークフロントビル12階) 参 加 者:イベント31名 交流会30名 パネリスト:青野 恵太氏(乃村工藝社/no.10) ファシリテーター:鬼木 孝一郎氏(鬼木デザインスタジオ代表) 第30 回通常総会・設立30周年記念大会 日    時:2024年 5月27日(月)16 : 30~20 : 30 場    所:東京デザインセンター B2F ガレリアホール 参 加 者:113名/会員99名、ビジター5名、 招待者9名 記 念 講 演 :インテリアプランニングアワード2023 デザインセッション パネリスト: 中山 佳子氏(㈱日本設計) 塩田 雅彦氏(㈱日建設計) 金子 由里子氏(大成建設㈱) 古野 清也氏((有)橋本夕紀夫デザインスタジオ) ファシリテーター:志村 美治氏(IPA2023 審査委員長) 佐藤 勉氏(JIPAT 会長) 第30回通常総会は、設立30周年記念大会を兼ねて、東京デ ザインセンターにて開催された。記念講演・交流会も大い に盛り上がり、歴代会長4人を交えて、一同に会することが できた。 時:2025年 1月31日(金) 18 : 30~20 : 30 場 所:THE CORE KITCHEN/SPACE (虎ノ門) 参加者:109名/JIPAT 会員 83名、ビジター 26名 新年交流会は、立食スタイルで開催した。協会メンバーに よるバンド演奏で盛り上がり、新入会員の紹介・JIPAT役 員の紹介など、恒例のプログラムのほか、『運試しジャン ケン大会』の企画では、豪華景品をかけて、なるふりかま わぬ真剣勝負となった。 時:2025年 1月16日(木) 10 : 00 ~12 : 00 場 所:温故創新の森 NOVARE (清水建設オープンイノベーション施設) 参加者:17名 方程式を解くようにアプ ローチする、鬼木氏のデ ザイン手法をプロジェク トの事例を通して紹介い ただき、リアルイベント ならではの貴重な話を伺 えるセミナーとなった。 ある乃村工藝社/no.10 の青野恵太氏に登壇い ただいた。トークイベ ント終了後には、パネ リストも交えた交流会 を開催した。 創業220年を迎える清水 建設が、人材育成とオー プンイノベーションの拠 点として江東区潮見に建 設した『温故創新の森 NOVARE』の見学会。特 に青森から4年の歳月をか けて移築した「旧渋沢邸」 は二代清水喜助の手掛けた当時の技術と意匠をみることの できる貴重な体験となった。 鬼木孝一郎氏をファシリテーターに迎え、鬼木氏と親交の gid00019gid00032gid00043gid00042gid00045gid00047gid00001gid00042gid00033gid00001gid00002gid00030gid00047gid00036gid00049gid00036gid00047gid00036gid00032gid00046 活動報告 2024/04 - 2025/03 IP’s REPORT 31 3 サロン・ド・IP 2025年 JIPAT 新年交流会 温故創新の森 NOVARE 見学会 プランナートーク サロン・ド・IP 2024 vol.2 テーマ:「股旅デザイナー 村澤一晃の見た世界」 日    時:2024年 8月23日(金)18 : 00~19 : 30 場    所:PLUS DESIGN CROSS (恵比寿ガーデンプレイス) 参 加 者:34名/リアル31名、WEB3名 スピーカー:村澤 一晃氏(ムラサワデザイン代表) ファシリテーター:伊藤 裕氏(SOL style) プランナートーク No.13「連立方程式から導くカタチ」 日    時:2024年 8月8日(木)18 : 00~21 : 00 場    所:BoConcept 東京本社 ショウルーム 参 加 者:イベント32名 交流会39名 パネリスト:鬼木 孝一郎氏 (鬼木デザインスタジオ代表) ファシリテーター:久野 義憲氏(Ambientec 代表) プランナートーク NO.14「人間と時間、そして空間」 日    時:2024年 11月14 日(木)17 : 00~20 : 00 場    所:㈱サンゲツ PARCs Sangetsu Group Creative Hub (日比谷パークフロントビル12階) 参 加 者:イベント31名 交流会30名 パネリスト:青野 恵太氏(乃村工藝社/no.10) ファシリテーター:鬼木 孝一郎氏(鬼木デザインスタジオ代表) 第30 回通常総会・設立30周年記念大会 日    時:2024年 5月27日(月)16 : 30~20 : 30 場    所:東京デザインセンター B2F ガレリアホール 参 加 者:113名/会員99名、ビジター5名、 招待者9名 記 念 講 演 :インテリアプランニングアワード2023 デザインセッション パネリスト: 中山 佳子氏(㈱日本設計) 塩田 雅彦氏(㈱日建設計) 金子 由里子氏(大成建設㈱) 古野 清也氏((有)橋本夕紀夫デザインスタジオ) ファシリテーター:志村 美治氏(IPA2023 審査委員長) 佐藤 勉氏(JIPAT 会長) 第30回通常総会は、設立30周年記念大会を兼ねて、東京デ ザインセンターにて開催された。記念講演・交流会も大い に盛り上がり、歴代会長4人を交えて、一同に会することが できた。 時:2025年 1月31日(金) 18 : 30~20 : 30 場 所:THE CORE KITCHEN/SPACE (虎ノ門) 参加者:109名/JIPAT 会員 83名、ビジター 26名 新年交流会は、立食スタイルで開催した。協会メンバーに よるバンド演奏で盛り上がり、新入会員の紹介・JIPAT役 員の紹介など、恒例のプログラムのほか、『運試しジャン ケン大会』の企画では、豪華景品をかけて、なるふりかま わぬ真剣勝負となった。 時:2025年 1月16日(木) 10 : 00 ~12 : 00 場 所:温故創新の森 NOVARE (清水建設オープンイノベーション施設) 参加者:17名 方程式を解くようにアプ ローチする、鬼木氏のデ ザイン手法をプロジェク トの事例を通して紹介い ただき、リアルイベント ならではの貴重な話を伺 えるセミナーとなった。 ある乃村工藝社/no.10 の青野恵太氏に登壇い ただいた。トークイベ ント終了後には、パネ リストも交えた交流会 を開催した。 創業220年を迎える清水 建設が、人材育成とオー プンイノベーションの拠 点として江東区潮見に建 設した『温故創新の森 NOVARE』の見学会。特 に青森から4年の歳月をか けて移築した「旧渋沢邸」 は二代清水喜助の手掛けた当時の技術と意匠をみることの できる貴重な体験となった。 鬼木孝一郎氏をファシリテーターに迎え、鬼木氏と親交の
gid00019gid00032gid00043gid00042gid00045gid00047gid00001gid00042gid00033gid00001gid00002gid00030gid00047gid00036gid00049gid00036gid00047gid00036gid00032gid00046 活動報告 2024/04 - 2025/03 IP’s REPORT 31 4 JIPAT ゴルフコンペ 復活記念大会 インテリアプランナー試験受験対策セミナー 法人会員の会 コミュニケーションイベント 「秋の宴 2024」 時:2024年 10月23日(水)18 : 00~20 : 30 場 所:P.C.M. PUB CARDINAL MARUNOUCHI 参加者:91名 2024年度 法人会員の会 全体報告会 サロン・ド・IP 2025 vol.1 テーマ:「コマーシャルワークは、アートかサイエンスか?」 日    時:2025年 2月19日(水)17 : 00~19 : 30 場    所:在日フランス大使館 参 加 者:76名/JIPAT・JCD 会員34名、ビジター24名、 学生会員1名、スタッフ11名、招待4名、 プレス2名 スピーカー:グエナエル・ニコラ氏(キュリオシティ代表) 時:2024年 9月23日(月) 所:江戸崎カントリー倶楽部 南コース 参 加 者:30名 者:富田 亙正( ㈱ ト ミ タ )GROSS 87 NET 72.6 準優勝者:竹田 勉幸(㈱シンユ―)GROSS 91 NET 73.0 パース特別講座:2024年 9月16・22日 受講者24名 設 計 製 図 講 座:2024年 10月12 ・26日・11月4日 受講者30 名 習:2024年 11月10日 受講者17名 所:きゅりあん(品川区立総合区民会館)大会議室 2024年度 試験設計課題: 『海沿いに建つホテルの客室のインテリア』 師:19名 本杉 勝彦氏・太田 憲次氏・井上 順一郎氏 加藤 陽介氏・井上 美保氏・鈴木 二葉氏 石津 幸子氏・西尾 敏靖氏・小畑 真紀氏 新田 法子氏・小早川 梓氏・高島 幸一氏 下田 済二郎氏・横山 玲子氏・原 秀行氏 谷考 了氏・田中 千絵氏・早山 和江氏 垂水 茂喜氏 : 3名 屋部 幸泰氏・早山 和江氏・垂水 茂喜氏 コロナ禍を機に、見送られてきた伝統のゴルフコンペを JIPAT設立30周年を機に、『ゴルフ愛好の有志』の発案で復 活。30人を集める大きな大会となった。 次回開催は2025年4月26日。 募集80名に対して、参加者が91名。超満員御礼。 ビジターの参加も多く、交流を深めた夜となった。 時:2024年 6月20 日(木)18 : 30~22 : 00 場 所:TKP 西新宿カンファレンスセンターQ会議室 参加者:46名/JIPAT会員41名、ビジター 5名 「デザインは生活や行動の すべての中にある」を信条 に、現場で手を動かし、そ れぞれのメーカーとの関係 を育てている村澤氏。ミラ ノサローネ出展プロデュー スやJR九州の観光列車「か んぱち・いちろく」の家具 デザインのお話をしていた だいた。 コマーシャルな空間に求め られるのは、アートのよう な独創性か、それとも計算 されたデザインか?AIや ネットの情報で溢れる現 代における空間デザイン とは何か?クライアント の想像の先を行くデザイ ンが生まれる過程につい てお話をいただいた。在 日フランス大使館の全面的な協力で、フランスと日本をつ なぐ国際色豊かなイベントとなった。 gid00019gid00032gid00043gid00042gid00045gid00047gid00001gid00042gid00033gid00001gid00002gid00030gid00047gid00036gid00049gid00036gid00047gid00036gid00032gid00046 活動報告 2024/04 - 2025/03 IP’s REPORT 31 4 JIPAT ゴルフコンペ 復活記念大会 インテリアプランナー試験受験対策セミナー 法人会員の会 コミュニケーションイベント 「秋の宴 2024」 時:2024年 10月23日(水)18 : 00~20 : 30 場 所:P.C.M. PUB CARDINAL MARUNOUCHI 参加者:91名 2024年度 法人会員の会 全体報告会 サロン・ド・IP 2025 vol.1 テーマ:「コマーシャルワークは、アートかサイエンスか?」 日    時:2025年 2月19日(水)17 : 00~19 : 30 場    所:在日フランス大使館 参 加 者:76名/JIPAT・JCD 会員34名、ビジター24名、 学生会員1名、スタッフ11名、招待4名、 プレス2名 スピーカー:グエナエル・ニコラ氏(キュリオシティ代表) 時:2024年 9月23日(月) 所:江戸崎カントリー倶楽部 南コース 参 加 者:30名 者:富田 亙正( ㈱ ト ミ タ )GROSS 87 NET 72.6 準優勝者:竹田 勉幸(㈱シンユ―)GROSS 91 NET 73.0 パース特別講座:2024年 9月16・22日 受講者24名 設 計 製 図 講 座:2024年 10月12 ・26日・11月4日 受講者30 名 習:2024年 11月10日 受講者17名 所:きゅりあん(品川区立総合区民会館)大会議室 2024年度 試験設計課題: 『海沿いに建つホテルの客室のインテリア』 師:19名 本杉 勝彦氏・太田 憲次氏・井上 順一郎氏 加藤 陽介氏・井上 美保氏・鈴木 二葉氏 石津 幸子氏・西尾 敏靖氏・小畑 真紀氏 新田 法子氏・小早川 梓氏・高島 幸一氏 下田 済二郎氏・横山 玲子氏・原 秀行氏 谷考 了氏・田中 千絵氏・早山 和江氏 垂水 茂喜氏 : 3名 屋部 幸泰氏・早山 和江氏・垂水 茂喜氏 コロナ禍を機に、見送られてきた伝統のゴルフコンペを JIPAT設立30周年を機に、『ゴルフ愛好の有志』の発案で復 活。30人を集める大きな大会となった。 次回開催は2025年4月26日。 募集80名に対して、参加者が91名。超満員御礼。 ビジターの参加も多く、交流を深めた夜となった。 時:2024年 6月20 日(木)18 : 30~22 : 00 場 所:TKP 西新宿カンファレンスセンターQ会議室 参加者:46名/JIPAT会員41名、ビジター 5名 「デザインは生活や行動の すべての中にある」を信条 に、現場で手を動かし、そ れぞれのメーカーとの関係 を育てている村澤氏。ミラ ノサローネ出展プロデュー スやJR九州の観光列車「か んぱち・いちろく」の家具 デザインのお話をしていた だいた。 コマーシャルな空間に求め られるのは、アートのよう な独創性か、それとも計算 されたデザインか?AIや ネットの情報で溢れる現 代における空間デザイン とは何か?クライアント の想像の先を行くデザイ ンが生まれる過程につい てお話をいただいた。在 日フランス大使館の全面的な協力で、フランスと日本をつ なぐ国際色豊かなイベントとなった。
IP’s REPORT 31 5 現代の名工 五百部喜作さんに聞く JIPATに関わりのあるマエストロにスポットライトを当てて、お話を聞く シリーズ第1弾。今回は椅子張り技術者として「現代の名工」の称号を持つ 株式会社イヨベ工芸社代表取締役会長 五百部喜作氏にその技術の源から語 っていただいきました。 聞き手:JIPAT 正会員 佐藤 勝 「椅子張りという仕事」 マエストロシリーズ 昭和39年(1964年)。22歳で独立しました。のれん分けみ たいな制度はありません。自分から親方に、お暇をくださ いと言って独立しました。私を含め3人で、8畳間くらいの 小さな工場で始めました。最初は、お客さんもいない、信 用もない、実績もない、何もないところから始めました。 初めて自分で名刺を作って、銀行さんや、大きな会社に飛 び込んでいきました。でもそう簡単には仕事はもらえませ ん。とにかく仲間の仕事を手伝いながら、日銭を稼いでい ました。その後、3~4年くらい掛かって、会社は10人ぐ らいになりました。 昭和31年(1956年)。15歳で東京新橋の田村町に出てきま した。私の田舎は栃木県藤岡町なんですけど、椅子張りで 成功した人がなぜか多かった。だから子供の頃から椅子張 り屋さんっていう職業があるのは分かってました。口の中 に釘を含んで、マグネットハンマーで釘を打っているイメ ージです。また、盆暮れには丁稚奉公に行った椅子張りの 職人さんがボストンバックをもって故郷に帰ってくる。お土 産は、ビロード。昔でいうベッチン。それで田舎の人た ちは、ジャンパーを作ってた。そういう時代でした。 私の丁稚奉公は丸5年続きました。親方の家の6畳間に6 人くらいで住み込み、働いていました。朝起きるのが6 時。朝飯前にひと仕事をしてから、朝ごはん。夜は、10時 頃まで働いていました。そのあとは、銭湯で、親方や先輩 の背中を流していました。少しでも目を掛けてもらって、 仕事を教えてもらいたいという気持ちでやっていたと思い ます。休みは1日と15日の月2回。給料はなく、その代わ りに小遣いを5000円くらいもらっていました。休みの日 は朝から身の回りの掃除と洗濯。お昼ごろから新橋に繰り 出して映画をよく見てました。当時の椅子張り職人は、月 給20~30万くらい稼いでいましたので、様々な職種職人 のなかでもいい方だったと思います。 18歳の頃には、自分で独立しようと思うようになりまし た。当時、独立して食べていけるかどうかはもちろんわか りませんでした。それよりも高校、大学に進学した同級生 と顔を合わせるたびに、負けたくない、連中が大学を卒業 するまでに、何とか経営者として独り立ちしていたい、と いう思いのほうが強くかったと思います。なので、当時、 技術を磨くことに労を惜しまなかった。他流試合と称し て、親方から派遣してもらって、他の椅子張り屋に出向 いて、1週間あるいは、1か月と働いていました。5、6軒 行ったかな。行った先で腕の立つ職人さんに技術を教えて もらう、と同時に自分の腕は、いまどのくらいの技量であ るのかを確認していました。そうこうしているうちに、お ぼろげながら独立しても、仕事ができるという自信が生ま れてきました。 まず椅子張り職人としてスタートを切った ころのお話をお聞かせください その当時新橋・芝界隈の椅子張り屋さんの 雰囲気を聞かせください 独立したころのお話をお聞かせください 当時の椅子張り屋さんは、佐山・平井・鈴幸・榎田・小野、 それと葛生、青木など10~15社くらいでしょうか。得意先 は、寺尾さんという家具屋さん。アメリカ大使館、フランス 大使館、イギリス大使館に顔の利く方でした。それから松坂 屋さん。その当時は船の仕事とかですかね。豊洲の石川島播 磨造船、鶴見の日本鋼管鶴見造船所などで、タンカーの船員 さんの居住スペースの椅子の仕事などです。当時の田村町に は、椅子張り屋さんに加え、金物屋さん、塗装屋さん、布 地屋さんもあったし、ハマホームというウレタンを扱う会社 さんなど材料屋さんも集まっていました。
IP’s REPORT 31 6 いちばんリーズナブルな材料からいうと、藁。その次は芝 草。そしてパームヤシ。マオラン。馬毛という順で高級な 材料になっていく。詰め物は、ウレタンチップ。ヘアロッ ク。馬毛。いま使われているのはもっぱらウレタン。 馬毛とかは、宮内庁とか迎賓館の仕事の際に、指定される ことがあります。 椅子張りっていう技術は、一口でいうと感性がモノ言う世 界なんです。美的感覚とかそういうことです。デザイナー が想い描いている線を出せるか出せないか。それはやっぱ り、職人自身が持っている感性が大きく影響するんです。 日々努力して良いものを見分ける力を養う。それがいいの か悪いのか、わかるようにならなきゃ駄目なんです。 でもね、技術も大事。ちょっとしたことで、綺麗に張れた り、張れなかったりするんですよ。ひっぱりが少し甘かっ たり、布地の寄せ方にしても同じ。技術がないと、いつも 同じように表現できないからです。感性だけでもだめで、 それを表現する技術が伴わないと駄目です。 その後、スウェーデン大使館の紹介で、ヤシナス社(Gärsnäs) とのお付き合いを皮切りに、ドイツやイタリアの家具メーカー さんとお付き合いするようになりました。ヨーロッパから 先方の社長さんやオーナーさんが、わざわざイヨベ工芸社 まで来て、我々の工場と家具に取り組む姿勢を見て、「おまか せします。日本で張りをやってください。」ということにな る。やはり、先進的な海外の工場を手本として、家具製造 をしていることが、評価されたのだと思います。ヤマハさ んとの出会いもまたとても大切なものです。1985年頃でし た。ヤマハ家具を扱うことになって、今崎務さん、川上 元 美さん、木村 戦太郎さん、喜多 俊之さんなどとの協働がで きた。大変でしたが、その後の仕事の糧になっています。 ピアノ塗装ができるようになったのもヤマハさんのおかげ です。また、ロルフベンツ社(ドイツ)との取引も、ヤマハ とのお付き合いがきっかけです。 といわれてもねぇ。日々の積み重ねです。椅子張りにこだ わり、掲げた看板を変えなかったからですかねぇ。苦しい 時代もありました。いつも苦しかったから、いつも楽をし たことなかったから、いつも全力でした。振り返るとそん な日々の繰り返しで、今がある。そんなことですかね。結 局、椅子張りは手間仕事だから、職人がやれる範囲でしか 仕事を請けられません。なので、会社も身の丈にあったこ としかできません。突然大きくなるなんてできません。せ めて忙しいときは、夜遅くまで働くくらい、ですかね。 27歳のときに、米国Knoll社の最先端家具工場(ペンシル べニア州イーストグリーンヴィル)に研修にいくことにな りました。西武百貨店が日本でKnoll家具を製造販売する ことになったためです。椅子張り屋、塗装屋、金物屋、木 工屋の職人など合わせて総勢9名。3週間の研修でした。と にかく日本に帰って、米国と同じ品質のものを作らなけれ ばならないので、必死でした。日本にKnoll家具を持って きたのは実は俺たちだよって、今でも思っています。いま だにその当時の工場の写真を持っています。立派な工場で した。当時の最先端でした。その影響は間違いなくイヨベ 工芸社も受けました。具体的には、治具を駆使した近代的 な家具の作り方、整理整頓されたきれいな作業環境、大き なトレーラーを受け入れる荷捌き場の整備などです。僕 は、実は仕事の関係で、アメリカハーマンミラー社のグラ ンドラピッツ工場も見ています。埼玉工場(加須)は、これ らの米国の優れた家具工場を参考にしながら作りました。 米国Knoll社への研修について お聞かせください 椅子張り会社を切り回し、大きく成長させて きたコツや実感があればお聞かせください 椅子張りの材料について教えてください 椅子張りに必要な素養について お聞かせください あるとき、保険のおばさんが、西武百貨店の人を知ってるよ っていうことで、紹介を受けました。それが後の西和インテ リアを率いることになる肥田さんでした。その西和インテリ アは、堤さん(西武百貨店社長)の指示で入間に大きな工場 を建て、イヨベ工芸社はその工場に腕利きの椅子張り職人を 送り込んで、経営は徐々に軌道に乗ってきました。 ホテルの仕事をやるようになったのは、独立して7~8年後 くらいですかね。芝公園の東京プリンスホテルの仕事が最 初だったと思います。当時、竹中工務店の角幡さんがまだ 若手のころでした。その後、品川のパシフィックホテル東 京の1000室の大きな仕事をやりました。高輪プリンスホ テルなどの仕事もいただきました。品川界隈の大きなホテ ルの仕事はほとんどやらせていただきました。 写真:左から 8 人目(中央)が五百部氏
IP’s REPORT 31 7 例えば木工っていうのは、それの技術を教える学校が全国 にある。ところが、椅子張りを教える学校は、全国どこを 探してもありません。なので、椅子張りという仕事がある ことを、学校に行ってPRしてこないと、だれも来てくれま せん。そんなことで、イヨベ工芸社に入ってくる椅子張り の職人さんには、椅子張りの基本的な技術をイチから教え ることになります。 会社としては、イチから教えるにしても、まず素質がある かどうか見極めなければならない。いままで多くの椅子張 り職人を育てたわたしの経験から言うと、なんとなくです けど、職人に向いている器用な人っていうのは、共通して 昔でいう“かけっこ”など、運動が得意な気がします。なの で、かけっこが早かったかどうかは、面接で聞いたりします。 椅子張りの職人さんの数は、全国で500人いるかどうか。 そんなもんではないでしょうか。 椅子屋さんで良かったなぁ、と感じるのは、完成品をこの 目で確認できることかな。中間工程の部品をつくっていた らそれは無理ですよね。最後の完成品を実際に座って感触 を確かめ、手で椅子のカーブや張り地の感触を確認したり、 その完成品を見とどけること。そういう観点でも、やっぱ り美的感覚とか、技術以外のそういうふうな感覚が必要な んです。 [いおべ きさく・株式会社イヨべ工芸社 代表取締役会長] 基本的に椅子張りに使う道具は、昔で言うと、マグネット ハンマーとはさみ、それからペンチ、目打ち、はがしなど です。昔と大きく変わったのは、マグネットハンマーでは なく圧縮空気を使ったエアタッカーを使用することでしょ うか。あと、張地の裁断が自動化されたこと。でもいまで も数が少ないものは、張地の型に基づいて、裁ちばさみで 裁断して、縫製して、張ります。 この商売なくならないんですよ。絶対になくならない。人間 がこの世にいる限り、なくならない。そう思っています。立 ち飲み屋さんだって、30分もいれば椅子が欲しくなるじゃ ないですか。また、ロボット化ですが、すごいお金をかけ れば椅子張りロボットは、できると思うけど、基本椅子張 りの世界は、少量多品種生産なんです。毎回セッティング を変える必要のあるロボットには向いていないと思いま す。人の手が頼りです。 そしてもう一つ大事なことは、家具をデザインする人はも ちろん、それを製造する人も、常にいいものを見ていない といけない。美的感覚を磨いていなければならないという ことです。 いいものを見て、自分を磨いていないと、それ以上のもの はできないと思います。我々製造に関わる者は、いろいろ な展示会や雑誌などでデザイナーが表現する家具のイメー ジや雰囲気を頭に刻み込んで、しまっておくことが大事。 そして、それをしかるべきときに張りの技術で表現する。 今風のしわの出し方とか、縫製の仕方だとか、そういうの をちゃんと頭の中にいれておかないと、いざというときに 出せないと思います。だからね、、、、、料理屋の職人さ んだってやっぱり、美味しいもの食べてさ、日々勉強して いないと、、、それと同じですよ。 椅子張り職人さんの現状を教えてください 椅子張りの道具について教えてください 最後に、家具に関わってよかったなぁ、 と思う瞬間を教えてください 本日は長時間に渡り、貴重なお話をいただき ありがとうございました。 長年、椅子張りのプロとして家具製造に関 わってきた経験から、今後の家具の未来  をどう見通しているか、お聞かせください
IP’s REPORT 31 8 「Interior Planner’s Report Vol.31」の発刊に あたり、ご尽力いただいたすべての方々にこの場 をお借りして心から御礼申し上げます。 今年は、JIPAT設立30周年という節目で、それを 機に、新たなスタートを切ったイベントや企画が 生まれ、活動が再び活発になりつつあることを実 感した一年となりました。喜ばしい限りです。 さて、今回のコラムは、マエストロシリーズと 題した第1回目の企画です。JIPATにゆかりがあ り、かつ日本のインテリア業界に影響を及ぼした 人物にスポットライトを当てて、その人の歩みを 振り返ることで、日本のインテリア業界が歩んで きた道をトレースする。さらに今後、この業界が 進むべき道に対して、示唆となるような言葉や考 え方を感じ取っていただければ、という視点で、 この企画を立ち上げました。皆様の今後のビジネ スに役立てていただければ幸いです。 佐藤 勝 編集委員  戸矢崎 弘美・荒井 資郎・岡田 高文・下田 濟二郎 新中 健史・東海林 吾一・露木 卓一・福山 亮介 Interior Planner’s Report Vol.31 発 行 日  2025年5月26 日 発 行 者  一般社団法人 日本インテリアプランナー協会 東京 会 長 佐藤 勉 編   集  一般社団法人 日本インテリアプランナー協会 東京 総務委員会 編集後記 各種手続き 変更の際は、手続きを忘れずに (1)会員種別 正 会 員  インテリアプランナー登録者 AIP会員 アソシエイト・インテリアプランナー資格登録者 一般会員 会の目的に賛同する個人 法人会員 会の目的に賛同する企業・団体 学生会員 インテリアプランナー資格取得を目指す学生 特別会員 当協会の発展に貢献してくれる個人又は団体 名誉会員 会に対する功労者、またはインテリアプランナー制度に貢献があった個人 (2)変更届 登録事項に変更があった場合は、必ず変更届をお出しください。 変更届はJIPATのホームページよりダウンロードできます。 JIPATのホームページ https://jipat.gr.jp 必要事項を記入し、メールかFAXで事務局までご送付ください。 ( 3)その他各種問い合わせ先 ①JIPAT 会員へのメール配信やホームページへの掲載希望は、事務局にご連絡ください。 *メール配信やホームページへの掲載は内容によってはお断りする場合があります。 ②委員会への入会、サポートメンバー登録 委員会に入りたい方、サポートメンバーになりたい方は、メールにて事務局へご連絡 ください。 [ JIPAT 事務局 ] TEL:03-3446-8860 FAX:03-3446-1417 MAIL:office@jipat.gr.jp 会員の特典及びサービス ■会員特典 ・会員証が交付されます。 ・各委員会活動、各事業に参加でき、様々な人との交流が図れます。 ・会が催す見学会等の各種イベントに会員価格にて参加できます。 ・文芸美術保険組合への加入資格が得られます。 ・会誌などの無料配布を受けられます。 ・会員名簿(HP上)の閲覧ができます。 ・ウェブサイト上で会員専用の情報を得ることができます。 ・会員証の提示により法人会員登録企業からの特典が受けられます。(内容は各企業による) ・法人会員主催の各種特別セミナー・見学会等に参加できます。 ・各種文具店等の割引を受けられます。 [ 文芸美術国民健康保険 ] 会社等の法人に所属していない個人で、インテリアデザイン関連の仕事をされている方 は、当保険に加入することができます。 *保険組合の審査によっては不可となる場合がございます。 (表紙の写真) 〇タイトル:「工匠のカレスコグラフィ*」 〇撮 者:中川 栄治(JIPAT 一般会員)/ Eiji Nakagawa(Photographer) 〇撮影日時:2025年 4月 東京都江東区 ㈱イヨベ工芸社家具スタジオ 〇撮影者のコメント 本号コラム『椅子張りの仕事』インタビューに帯同して、インタビューの 様子を記録させていただきました。表紙は、そのインタビューの際に、現 代の名工『五百部喜作さん』が長年愛用している椅子張りの道具を少し変 わったオリジナルな手法で撮影したものです。輝かしい業績を支え続けた 道具たちにスポットライトが当たることを意図しました。 *カレイドスコープ(万華鏡)× フォトグラフィ(写真)の合成語 〇撮影者の最近の活動: 2024年 作品展「覗き見る愉しさと美の展開」トミタサロン LFI|Leica Fotografie International (独)のウェブ・ギャラリーにて作品掲載 https://lfi-online.de/en/gallery/Eiji-Nakagawa-606599.html