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【レポート】「楠樹記念クリニック」見学研修会が開催されました

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 ‘11年2月8日、事業委員会主催の「楠樹記念クリニック」見学研修会が開催されました。70名以上方々が参加するといった盛況振りでした。見学会、そしてその後の理事長、デザイナー、プロデューサーを迎えてのトークセッションは、機能性を重視すべきと考えられがちである医療施設において”デザインの果たすべき役割”の一つの可能性を実感できた貴重な経験でした。

 本クリニックは、JIPAT会員である西尾敏靖氏、中川誠一氏によりそれぞれデザイン、プロデュースされた新宿住友ビル内の人間ドックを中心とした医療検査クリニックで、第1回インテリアプランニングアワードで優秀賞を受賞した作品であることは、既に皆さんもご存知のことでしょう。

 「他医療検査クリニックとの差別化は検査結果説明までの時間の短縮」とは本クリニック理事長藤田直樹氏の言葉で、それらは最新鋭の検査機器とすべての診断システムの内製化により支えられています。しかし、これらは医療施設が共通して持つ無機質感、慌ただしさといった患者(本クリニックでは患者ではないことからゲストと呼ぶ)の不安感を煽る要素となり得るものという事から、西尾氏は、この舞台裏の空気を如何に表舞台で感じさせないかといった事を最大のテーマとして、「ユーモア」「やさしさ」「人間性」「暖かくて緩い」「グレード感」といった言葉を意識しながらデザインをすすめられたそうです。結果、医療施設ではあまり見ることのない寛ぎ感のあるホテルのレセプションやラウンジを思わせる受付や待合といった表舞台が生まれ、また舞台裏に於いても、”苦労した”といったお話でありましたが、機能性を配慮したデザインを実現されています。

 ディレクターの起用により、インテリアデザインだけにとどまらないグラフィックデザイン/webデザインも含めたトータルデザインの完成度を高め、医療設計コンサル、設備設計といった医療施設に関するプロフェッショナルを加えた最強プロジェクトチームの組織化により、多くの制約を受ける医療施設といった特殊な施設を特に初期の高層ビルといったさらに難しい条件下で実現させる。中川氏からは、こういったソフトとハードともいえる総合的な舵取りをされた事を伺いました。中でもMRIの搬入において、その大きさのため通常の搬入経路を利用できず、6Fといえども超高層ビルの窓ガラスを外しクレーンで吊り上げたといったお話にいたっては、その場の緊張感が伝わってくるようでもありました。

   昨年、日本の新成長戦略として「健康大国戦略」が掲げられ、医療の国際化、外国人患者の受け入れや日本医療のブランド力向上といったことが具体的にあげられてきました。残念なことに、3.11により、そのスピードが減速する事は否めませんが、その中でも、本物件の様な施設デザインが日本医療のブランド力向上の一助を担い、広義での日本復興に貢献していくことができれば素晴らしい事と考えます。

 また、機能性重視の長年の歴史を持つ日本の医療施設のデザインについては、底上げも必要なことと考えられます。事業委員会では、医療施設に関する勉強会を今後もすすめていくと伺っています。インテリアプランナー協会としての医療施設に関する指針といったものが出来上がるのか…楽しみです。


                                             国際委員会 大家響子

  

  

 
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【収録書籍】
INTERIOR PLANNING best selection 2010(※)
「楠樹記念クリニック」が p.30~33 に掲載されています。

※第1回インテリアプランニングアワード優秀賞・入選の50作品をデザイナー自身による解説付きでまとめた書籍です。JIPAT会員には購入時に特典があります。詳しくは事務局へお問い合わせください
収録作品(優秀賞・入選)のリストはこちら>>>第1回インテリアプランニングアワード
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(2011年06月07日)

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